小径選書第5弾!!――文明開化の世になぜ美少年の物語が流行したのか

(小径選書5)

武士道と男色物語

―『賤(しず)のおだまき』のすべて―

伊牟田經久/著
武士道と男色物語表紙

 江戸時代の末期に鹿児島で作られた美少年をめぐる物語が、明治初期の東京で若者たちにもてはやされた。森外も読んだし、坪内逍遥や徳田秋声も手にした。物語の名は『賤のおだまき』という。戦国時代、島津義久・義弘治世のころを舞台とする男色の物語である。新旧の思想や文化の相克する明治初期の世相の中で、この物語は、西欧化の新しい風潮を軟弱として反発し、戦国武士の義と愛に生きる男どうしの関係を純で美しいものとして憧れる若者たちに受け入れられていった。その物語の全容をここに解き明かす。

四六判 280頁 / 定価:2,000円(税別)
     ISBN 978-4-905350-12-5